Nashville (1975) : ナッシュビル

『ナッシュビル』(Nashville)は、1975年公開のロバート・アルトマン監督によるアメリカ合衆国の音楽を主題にしたブラック・コメディ映画である。数々の賞を受賞し、またアメリカ国立フィルム登録簿に登録されている。『ナッシュビル』はアルトマンの最高傑作の一つとして知られている。
テネシー州ナッシュビルでのカントリー・ミュージックやゴスペルなどの音楽業界に関わる人々に焦点を当てている。メイン・キャラクターが24人もおり、曲は1時間に亘り、ストーリーラインも幾線にも亘る。

 ・Apple : ナッシュビル (字幕版) – ロバート・アルトマン

Nashville (1975) : ナッシュビルのストーリー

ハル・ウォーカー大統領候補のキャンペーン・カーがメイン・ストリートを行く。ムシ暑い初夏の1日が始まろうとしている、ここテネシー州ナッシュビル。イギリスのBBCから派遣され、ナッシュビル・フェスティバルのドキュメンタリー番組の取材にきたと称するオパール(ジェラルディン・チャップリン)は、初めてのアメリカ、初めてのナッシュビルに興奮していた。見るもの聞くものすべてが祖国イギリスとは全く異質のエネルギーで動いている巨大な渦の中で彼女はマイク片手に走りまわるのである。
さっそくナッシュビル一のスター、ヘブン・ハミルトン(ヘンリー・ギブソン)のレコーディングにもぐり込むが、ていよく追い払われてしまう。大様な態度の反面、病的といえるほど自己顕示欲の強い彼は、いつも息子のバディ(デイヴィッド・ピール)やナッシュビルの目抜き通りで「ピッキン・パーラー」というクラブを経営している名物マダム、レディ・パール(バーバラ・バクスレイ)を従え、『ミスター・ナッシュビル=清潔な歌手』というイメージを大切に守り、人前ではバーに行ってもミルクしか呑まない徹底ぶり。その彼をテネシー州知事にマークしているのが、この町でキャンペーンを予定しているハル・フィリップ・ウォーカー候補だ。
そしてそのキャンペーンを成功させるべく奔走する2人の男がいる。キャンペーン参謀ジョン・トリプレット(マイケル・マーフィー)とナッシュビルの大スターの何人かを顧客に持つ有力な弁護士デルバート・リーズ(ネッド・ビーティ)である。2人は5日後にキャンペーン・コンサートを開くために人気歌手たちに接触を始めた。ハミルトンと共に、ここナッシュビルでは絶大な人気を持つ純情歌手バーバラ・ジーン(ロニー・ブレイクリー)と彼女をかばう夫兼マネージャーのバーネット(アレン・ガーフィールド)、バーバラをライバル視するグラマー歌手コニー・ホワイト(カレン・ブラック)、黒人であるがために保守的な業界に受け入れられないトミー・ブラウン(ティモシー・ブラウン)など、華やかな歌の世界に生きる人々とのかけひき。『ビルとメリーとトム』という3人組のロック・グループのスター、トム・フランク(キース・キャラダイン)の魅力にひかれていくオパール、2人の聾唖者の子供を持つリーズの妻リネア(リリー・トムリン)、同じグループで歌っているビル(アラン・ニコルズ)の妻メリー(クリスティナ・レインズ)、さらに親衛隊の女の子L・A・ジョーン(シェリー・デュヴァル)の4人の女性たち。ウォーカー・キャンペーンにまき込まれてゆく歌手志望のウェイトレス、スーリーン・ゲイ(グエン・ウェルズ)と彼女に惚れている空港のバス・ボーイ、ウエイド(ロバート・ドキ)、生まれつきコメディアンの素質を備え芸能界で生きることを夢見ている運転手ノーマン(デイヴィッド・アーキン)。カントリー・シンガーを夢見てテネシーの田舎の農夫の夫のもとから逃げてきたアルバカーキ(バーバラ・ハリス)、彼女を連れ戻そうと追ってきた夫のスター(バート・レムゼン)。L・A・ジョーンの伯父で、彼女を入院している妻に一目会わせようとする老人ミスター・グリーン(キーナン・ウィン)。口やかましい母を嫌い、バイオリン・ケース1つを持って家を棄ててきた青年ケニー・フレイザー(デイヴィッド・ヘイワード)、オートバイにまたがってナッシュビルに流れついたイージーライダー(ジェフ・ゴールドブラム)、バーバラ・ジーンの熱烈なファンで彼女を追いまわす若いGIグレン・ケリー(スコット・グレン)……。
いよいよキャンペーン・コンサートの当日がやってきて、会場にはたくさんの観客が一眼スターをみようとつめかけてきた。コンサートが始まり、1番最初に舞台に立ったのはバーバラ・ジーンだった。事件がおきたのは、そのときだった。1番前で見ていたケニー・フレイザーが、バイオリン・ケースにしのばせた拳銃をとりだし、バーバラめがけて発砲したのだ。バーバラはトレード・マークの白いドレスを血にそめ、舞台の上に倒れた。飛び出してきたハミルトンも腕を撃たれ負傷した。ケニーは警官と周囲の観客にとりおさえられたものの、会場は大混乱に陥った。そんな中で、どこからともなく現われたアルバカーキが壇上にのぼり、マイク片手に歌い始めた。

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